ゴールドシャイダー工房について
ゴールドシャイダー工房は錫釉陶器と陶磁器の工房として1885年にオーストリアのウイーンでフリードリヒ・ゴールドシャイダーによって設立されました。
設立してからまもなく国際的な評価を獲得したゴールドシャイダー工房は、フリードリヒの息子マルセルとウォルターの世代となる1920年代から30年代にかけてパリ、ライプツィヒ、ベルリン、フィレンツェに支店を広げ、ヨーロッパでも大手の磁器工房へと成長を遂げました。
ゴールドシャイダーはアールデコ期にエキゾチックなモチーフや妖艶な色使い等で印象的なモデルを生み出し、そのスタイルを確立させていきます。
1938年にオーストリアがナチスドイツに併合されると、工房の運営はナチスから派遣された人物に取って代わられ、黄金時代は終わりを告げます。ウィーンを逃れたゴールドシャイダーの一族は、マルセルがイギリスへ、ウォルターがアメリカへと渡り、それぞれの地で事業を継続するしかありませんでした。
その後アメリカで成功を収めたウォルター・ゴールドシャイダーは1950年に再びウイーンに戻り工房の再建を図りますが、様々な障害によりわずか3年で閉鎖を余儀なくされます。
1960年代には創業者フリードリヒのひ孫に当たる、ピーター・ゴールドシャイダーが、残された資料を元にドイツの磁器工房とライセンス契約し、戦前のモデルを数パターン数量限定で製造しますが、それが新たな製品を手にすることが出来た最後の機会となりました。
ゴールドシャイダー工房は三代に渡り1万もの異なるモデルを世に送り出しましたが、現在それらを目にする機会は限られています。その作品は時代を超越した美しさと品質が評価され、サザビーズやクリスティーズ等の主要なオークション・ハウスでも高値で取引されており、世界中の熱心なコレクターの収集の対象となっています。
近年ではウイーン博物館やライプツィヒのグラッシィ博物館で展示会が催されており、再び注目が集まりつつあります。